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アサーション

 

『バイト仲間に急に当日のシフトを代わってほしいと連絡がきたが,その日は昼から自宅でたまっている課題を進める予定だった。しかし,断ると相手の機嫌を損ねてしまうのではと思い,断ることができなかった。』

 

このような思いをしたことはありませんか?

 

自分の思いを言えないでいると,たとえ表面上の人間関係がうまくいっているようでも,モヤモヤやストレスが溜まってしまったり,自己肯定感が低くなってしまい,さらに言いたいことを言えなくなる,という悪循環に陥るかもしれません。

 

このような事態を解消するためにアサーションという考え方があります。

アサーションとは,自分も相手も大切にした自己表現のことです。

 

自己表現には以下の3つのタイプがあるとされています。

 

  • ノン・アサーティブ(非主張的)

:自分の考えや気持ちを言わず,言いたくても自分を抑え,相手の言うことを聞き入れてしまうタイプ。アルバイトの例のように,断ることができず,シフトを代わる。アルバイト後に課題に取り組んだため,夜中までかかってしまい,翌日寝不足で体調がすぐれなくなるかもしれません。

 

  • アグレッシブ(攻撃的)

:自分の考えや気持ちを伝えることはできるが,自分の言い分を一方的に通そうとして,相手に押しつけたり,言い放しにしたりするタイプ。アルバイトの例で考えると,「どうして当日に言うの。そんな人にはシフト代わってあげたくない!」と言い捨て電話を切る。思い通りにはなったが,冷たく言ってしまったことが気になって落ち着かない,相手も「そんなに言われなければいけないのか」と情けなく感じる,その後バイトで会った時もなんだか気まずくなってしまうかもしれません。

 

  • アサーティブ

:自分の考えや気持ちを伝えることができるが,それを押し通そうとするのではなく,相手にも配慮できるタイプ。このタイプの場合,「今日は溜まってる課題に取り組む予定なの。シフトに入ってしまうと終わらなそうなの。だから今日は代わってあげられないけど,次また困ったことがあったらもう少し早く言ってくれると代わってあげられると思う。」と丁寧に伝える。自分の思いを伝えられたことに満足感を感じる。相手も言い捨てられた場合のように情けなさを感じづらいと考えられます。

 

アサーションを実施するための6つのポイント

  • 1)自分の気持ちに気づくこと

自分の気持ちや言いたいことが分からないと,表現することは難しくなります。自分の気持ちを明確に把握することは,アサーションに第1歩になります。

  • 2)失敗や相手にどう思われるかを気にしすぎないこと

自己表現で重要なことは自分の気持ちが適切に言えるかどうかです。

  • 3)アサーティブな考え方をすること

「こうでなくてはいけない」という思い込みは,自分を苦しめてアサーティブな自己表現が出来なくなってしまうこともあります。

  • 4)誰にでもアサーションの権利があると理解し,尊重すること

アサーションは基本的人権の1つです。自分も相手もアサーションの権利があります。

  • 5)アサーション・スキルを身につけること

対人スキルもピアノなどと同じように学習し,繰り返し訓練することで身につけることができます。本や適切なアサーションができている人の言動を観察から学習し始めるとよいかもしれません。

  • 6)非言語的アサーションも大事にすること

姿勢や声,表情などの言葉以外の情報も重要なメッセージになります。

 

〈参照〉