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自分にやさしく接するということ

私たちは、嫌なことやしんどいことが多く溢れる世界で暮らしています。学校や仕事での失敗、友達や家族との喧嘩、自分自身のこと、様々な困難を経験すると思います。

そんな困難を経験した時に、自分自身にやさしく接することができれば、もっと穏やかな人生にすることが出来るのではないでしょうか。

今回は、近年注目されている「セルフ・コンパッション」についてご紹介します。初めて聞いた方も多いかもしれません。

セルフ・コンパッションとは、ひとことで言うと「自分自身へ思いやりをもつこと」です。アメリカの心理学者、クリスティーン・ネフ博士がセルフ・コンパッションを新たな概念として説明をしたのが心理学の分野での研究の始まりです。セルフ・コンパッションが高い人は不安や抑うつが低く、幸福感が高いことが、多くの研究で分かってきています。「自分自身へ思いやりをもつ」とは、主には以下の3つの考えをもつことを指します。

◎自分へのやさしさ

 例:失敗をしたときに、自分をいたわり、やさしくする

◎マインドフルネス

 例:自分の感情を偏りなく広く受け入れ、バランスのとれた見方をする

※これは、嫌な感情や記憶だけでいっぱいいっぱいにならず、とらわれないことを言います

◎共通の人間性

 例:完璧にできなくでも、多くの人も同じように完璧でないことを認識する

とはいえ、自分に対して厳しくすることを良しとする風潮のある日本で生活していると、自分自身にやさしく接するなんてことは、いきなりはなかなか難しいかもしれません。

そこで、セルフ・コンパッションを高める技法として、慈悲(慈しみ)の瞑想があるので、そちらを簡単に紹介したいと思います。

慈悲の瞑想は、自分や他者の幸せを願い、自分や他者が苦しみから解放されることを願う、仏教伝来の瞑想法です。

慈悲の瞑想のフレーズ

私が安全でありますように。

私が幸せでありますように。

私が健康でありますように。

私の悩み苦しみがなくなりますように。

上に書いてあるような慈悲のフレーズを、自分に、また他者に向けて放ち、包み込んでいくのが慈悲の瞑想です。

慈悲の瞑想の実践は、自分自身の幸せを願うことから始めます。

実践のポイント

・身体をリラックスさせる

・慈悲のフレーズを、心地よい間隔で繰り返す

・気が散っても、頭に浮かんだ考えや感情に、ただ気づいて放っておき、またフレーズの繰り返しに戻る

・慣れてきたら、慈悲の対象を家族、友人、知らない人、嫌いな人、など広げていく

急激にセルフ・コンパッションが高まることはないかもしれませんが、日々、少しの時間でもよいので続けていくと、自分自身への思いやり、やさしさが持てるようになります。

自分にやさしく、できるだけ穏やかに生きていけたらより素敵ですね。

参考資料

有光興記(2019),セルフ・コンパッションと「あるがまま」,心理学ワールド,87号,13-16