私たちの生活とは切って離せないものとなった「インターネット」。何かを調べるため、ゲームやメディア視聴のため、誰かとコミュニケーションをとるためなど、使用用途も様々です。近頃は、「おうち時間」「リモートワーク」「オンライン授業」など、インターネット環境がますます身近なものになってきています。
しかし、つい時間を気にせずに使いすぎてしまう、なんてことはないでしょうか。この便利さの裏に、「依存」という危険性が隠れていることも忘れてはいけません。
「依存」とは、“特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることです。”(厚生労働省HPより)
1)アルコールや薬物といった精神に依存する物質を原因とする「物質への依存」
2)物質ではなく特定の行為や過程にのめり込んでしまう「プロセスへの依存」
の2種類があります。「インターネット依存」はこの両方に当てはまるのではないかと思います。
例えば、SNSに自分の、写真をアップロードしたら「いいね」や「コメント」を貰った、というシチュエーションがあります。「もっと自分を見てほしい」「評価してほしい」「いいねやコメントの数字を伸ばしたい」という風に、より多くの、そして大衆が求める内容の写真をアップロードしていきます。この場合、「自分を評価してほしい、見てほしいという承認欲求」という物質に依存し、その欲求を満たすためにインターネットの使用が辞められないというプロセスへの依存に陥ってしまうことが予測されます。
「インターネット依存」の現状は、KDDI株式会社のオンライン調査が示しています。特に、コロナ禍でスマートフォンの利用時間が増加したことから、ゲーム障害、インターネット依存傾向の割合も1.5倍以上に増加したことがわかりました。「誰かと関わりたい」「誰かと話したい」という孤独感を満たしたいという欲求が、この「インターネット依存」を加速させた大きな要因と言えるでしょう。
コロナ前後の話以外にも、様々な研究がなされています。例えば、「インターネット依存」に陥りやすい人は以下のような性格特性を持っていると言われています。
- ・自己否定型・他者肯定型(自分を劣等とみなす、不快感を持ち現実から逃避したい気持ちを抱いている人)
- ・人に優しく世話好き
- ・「NO」と言えずに仕事を頼まれると無批判に引き受け他人に尽くす傾向にある人
- ・感情で行動してしまうところがあり、冷静で計画性がない
これらの特徴から、「インターネット依存」に陥る者は、他人の要求を過剰なほど受け入れてしまい、他者を満足させることで自分の喜びとしている、と考えられます。また、「ネット上の仲間の方が現実よりも自分を理解してくれる」「誰からも要求されずに済む」「匿名性の世界であるため、自分以外の『誰か』になりきって自由に伸び伸びとできる」など、現実では叶えることが難しい「理想」をインターネットの世界に追求していることが示唆されます。
では、インターネット依存に陥らないために、どのようなことができたら良いでしょうか。
以下のような取り組みが良いと言われています。
・毎日の自分の生活を振り返るための日記をつけたり、インターネットの利用時間を記録するなどの、自分の行動の観察できるようにする
- ・新聞や本などを積極的に読み、インターネットから離れる、インターネット依存に関する理解を深める
- ・「他の人ならどうするだろうか」と客観視してみる
- ・インターネット以外の日常生活の場で自分の気持ちを表現することを意識してみる
- ・趣味を増やして自分が楽しむための時間を作っていく
いかがでしたでしょうか。このコラムが皆様の現実世界とインターネットライフをより豊かで安全なものにする鍵となることを願っていますインターネットの利便性やインターネット依存の特性については、他にも様々なことがいわれています。お困りの場合には、ぜひジャニスにご相談ください。
引用・参考文献
日野秀俊(2013),中学生におけるパソコンによるインターネットへの依存傾向とエゴグラムとの関連性,学校教育学研究,25,63-73.
KDDI株式会社
(https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2021/10/12/5468.html) (最終閲覧日2023年9月14日)
厚生労働省HP(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html)(最終閲覧日2023年9月14日)