皆さんは、悩んだり不安を感じたりした時に、誰かに相談しますか?家族や友人によく相談するという方も、相談せずに自分で解決したり抱え込んだりするという方もいらっしゃるかと思います。
今回のテーマである“ソーシャルサポート”は、家族や友人、隣人など、ある個人を取り巻く様々な人々からの有形・無形の援助を指します(Caplan,1974)。目に見えるお金や物資などをもらうだけでなく、励ましの言葉や助言をもらうといったこともソーシャルサポートといえます。
ソーシャルサポートにはいくつか種類があり、その分け方にはいろいろありますが、大まかには道具的サポートと情緒的サポートの2つに分類できるとされています(浦,1992)。
1) 道具的サポート
悩みや苦しみを解決するために必要な資源を提供したり、その人が自分でその資源を手に入れるための情報を提供したりする働きかけを指します。
(例)
・筆記用具を忘れたときに友人が貸してくれた。
・目的地までの道が分からず困っていたら親切な人が教えてくれた。
2) 情緒的サポート
悩みや苦しみによって傷ついた心に働きかけて傷を癒やし、自ら積極的に問題解決に当たれるような状態に戻す働きかけを指します。
(例)
・仕事で失敗をしたが同僚が話を聞いて慰めてくれた。
・発表会でミスをして落ち込んでいたら、「○○の部分は上手くできていたよ」と言ってくれた。
ソーシャルサポートがあった方が良いということはなんとなく分かりますが、具体的にどんな良いことがあるのでしょうか。ソーシャルサポートの効果には以下のようなものがあるとされます。
〇ストレスや疲労が軽減する
40歳以上の会社員の男性を対象とした研究では、ソーシャルサポートを受けている人は職場でのストレスと抑うつの傾向が低いことが明らかになっています(小松ら,2010)。また、大学生を対象とした研究では、家族や友人などからのサポートが多いと疲労感が少ないという結果が出ています(大坪,2017)。
〇健康の維持が起きる
高橋ら(2008)の研究では、40~65歳未満の男性では精神的に支えてくれる人がいること、65歳以上の女性では運動に誘ったり、勧めてくれたりする人がいることが、生活習慣病を予防するための行動をとることにつながりやすい可能性があるとされています。
〇自己肯定感が高められる
自己肯定感とはありのままの自分を認められる感覚のことです。細田ら(2009)の中学生を対象とした研究では、自己肯定感の高い中学生の方が両親からのソーシャルサポートを多く受けていると感じていること、友人からのソーシャルサポートが自己肯定感に関連していることが明らかになっています。
ソーシャルサポートは私たちが生きる上で大切なものです。悩みを抱えているという方も、今は悩んだり困ったりしていないという方も、必要とするときにサポートを受けられるように自分の活用できるソーシャルサポートについて考えてみてください。
引用・参考文献
キャプラン(著)近藤喬一・増野肇・宮田洋三郎(訳)(1979).地域ぐるみの精神衛生星和書店
(Caplan,G.(1974).Support systems and community mental health. Behavioral Publications.)
細田絢・田嶌誠一(2009).中学生におけるソーシャルサポートと自他への肯定感に関する研究教育心理学研究, 57, 309-323.
小松優紀・甲斐裕子・永松俊哉・志和忠志・須山靖男・杉本正子(2010).職業性ストレスと抑うつの関係における職場のソーシャルサポートの緩衝効果の検討産業衛生学雑誌, 52, 140-148.
水野治久・谷口弘一・福岡欣治・古宮昇(編)(2007).カウンセリングとソーシャルサポート つながり支え合う心理学ナカニシヤ出版
大坪岳(2017).青年期のコミュニケーション・スキルとソーシャル・サポートがレジリエンスに及ぼす影響追手門学院大学心理学論集, 25, 13-25.
高橋和子・工藤啓・山田嘉明・邵力・石川仁・深尾彰(2008).生活習慣病予防における健康行動とソーシャルサポートの関連日本公衆衛生雑誌, 55(8), 491-502.
浦光博(1992).支えあう人と人―ソーシャル・サポートの社会心理学―サイエンス社

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